


そうすると、有給休暇が1年で10日で足りるか不安になってきてしまって・・・。

そんなあなたに朗報よ。
来年から育児と介護の休暇に関する法律が少し変わるのよ。
子供を病院に連れて行ったり、書類を窓口に出しに行ったりと細かい時間がかかる場合に、少しずつお休みを取って、柔軟に働くことができるようになるの。


少子高齢化が要因で、こうした法の見直しも進んでいるの。
まずは子の看護休暇と介護休暇のおさらいから一緒に見ていきましょう!
目次
1.子の看護休暇・介護休暇とは
(1)子の看護休暇とは
子の看護休暇とは、小学校就業前の子を養育する労働者が、子の傷病、健康診断、予防接種等への対応のため、労働者からの求めがあった場合は年次有給休暇とは別に与えなければならないものです。
1年度において5日(対象となる子が2人以上の場合は10日)を上限に取得させる必要がありますが、休暇に対する賃金の支払いまでは義務付けられていません。
(2)介護休暇とは
介護休暇とは、2週間以上の期間に渡り常時介護を必要とする状態である家族(対象家族)の介護や世話等の対応のため、労働者からの求めがあった場合は年次有給休暇とは別に与えばければならないものです。
1年度において5日(対象家族が2人以上の場合は10日)を上限に取得させる必要がありますが、休暇に対する賃金の支払いまでは義務付けられていません。
対象家族の範囲は、育児休業の対象家族と同じです。
2.法改正の概要
育児・介護休業法に定められている子の看護休暇・介護休暇のルールが2021年1月1日に変更される見込みです。
具体的には以下のとおりとなります。
現行ルール | 変更後のルール | |
---|---|---|
取得単位 | ・1日 ・半日 |
・1日 ・半日 ・時間 |
休暇取得を拒否することが できる対象(※) |
1日の所定労働時間が4時間以下の労働者 | なし |
(※)労使協定により休暇の取得を拒否できる労働者として定める者を除きます。
3.具体的な時間についての取扱い
(1)時間の単位
時間の単位は、1時間の整数倍の時間をいい、労働者からの申出に応じ、労働者の希望する時間数で取得させなければなりません。
具体的には、1時間単位の取得は認めず、2時間単位でのみ休暇の取得ができるようにする制度は認められないことになります。
ただし、既に1時間未満での取得が可能な制度がある場合は、法の基準を上回る措置を実施していることとなることから、別途時間単位取得制度を設ける必要はないこととされています。
(2)何時間の休暇取得で1日分の休暇取得とみなすのか
原則的な考え方は、取得した休暇の合計が1日の所定労働時間数に相当するごとに1日分の休暇取得とみなします。
ただし、1日の所定労働時間数に1時間未満の端数がある場合は、端数を時間単位に切り上げる必要があります。
具体的には、1日の所定労働時間が7時間30分の場合、8時間分の休暇取得で1日分とみなすことになります。
出典:厚生労働省「子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A」
日によって所定労働時間数が異なる場合は、取得した休暇の合計が、1年間の平均所定労働時間に相当するごとに1日の取得としてみなすことになります。
1年間の平均所定労働時間数が決まっていない場合は、上記を所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働時間数とします。
(3)取得限度時間
①日数の上限
休暇の時間単位取得の日数の上限はありません。
よって、休暇が5日付与されている場合であれば、その5日分のすべてを時間単位取得とすることも可能です。
②1日に取得できる時間数の上限
1日に取得できる時間数の上限は1日の所定労働時間未満とされています。
よって、1日の所定労働時間と同じ時間数の休暇を取得する場合には、日単位での取得として取扱わなければならないことになります。
これは、日によって所定労働時間数が異なる場合、1日の所定労働時間数と同じ時間数の休暇を取得し際に労働者にとって不利な状況となる場合があることによります。
【具体例】
◆前提条件
1日の平均所定労働時間数:7時間
休暇を取得しようとする日の所定労働時間:8時間
休暇を取得しようとしている時間:8時間
◆実際に取得することになる時間
日単位として取扱う場合:1日分の取得
時間単位として取扱う場合:1日+1時間分
結果として、時間単位として取扱うことは労働者にとって不利な状況となります。
有利になる場合もありますが、不利な状況になることがあることを鑑み上記の取扱いとなっています。
(4)休暇の開始・終了時刻
今回の法改正では、休暇の開始・終了について始業の時刻から連続し、または終業の時刻まで連続するものと定められていることから、いわゆる中抜けができる制度にする必要まではありませんが、中抜けができるような制度とするような配慮を事業主に求めています。
4.就業規則の改訂
今回の法改正に伴い、就業規則(育児・介護休業規程等)の子の看護休暇および介護休暇の条項の改訂を行う必要があります。
下記に規定内容の具体例を記載いたしますのでご参照ください。
第◯条(子の看護休暇) 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、 この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。 2.子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続または終業時刻まで連続して取得することができる。 |
参考:厚生労働省「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!」
5.まとめ
法改正が適正に会社のルールとして反映されていないことは、法令違反のリスクのみならず、労働者の離職や採用競争力の低下にも繋がるおそれがあります。
今回の法改正は2021年1月1日であることから、時間的な猶予はありますので、今のうちに社内制度を整える等の対応を行った上で、法改正のタイミングから適正な管理が行える状況を整えておきましょう。
6.次回予告
次回は「計画年休制度について」ご紹介します。
お楽しみに!
7.本日の一問一答
お問い合わせ内容

弊社は部長職以上を管理監督者として定めていますが、部長職として勤務している従業員には休日を1日も与えなくても法令上問題ないという認識で問題ないでしょうか?
業種:宿泊業、飲食サービス業 従業員規模:100~299名
人事経験:3年以上5年未満
回答
ご質問の内容のとおり、管理監督者には労働時間・休憩・休日の規定の一部が適用されません(労働基準法第41条)。
よって、労働基準法のみの観点では、法令違反にはなりません。
一方で、部長職も労働者であることには変わりはありませんので、会社は当該労働者に対して安全配慮義務を負うことになります。
休日を1日も与えない場合、長時間労働に伴う心身の不良をきたす可能性もあり、裁判等で会社の安全配慮義務違反が認められた場合、損害賠償を支払わなくてはならなくなることになる可能性もあります。
よって、労働基準法上の違反がないからと言って、ご質問通りの運用を実施することは、おすすめできません。
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