本記事は2026年1月30日(金)に公開を終了します。
HRに関するトレンド情報は、情報メディア「HR NOTE」をご利用ください。
そういえば、フレックスタイム制も法改正があったんですよね。
部長からレポートを出すようにいわれちゃって。。。
そういえば、フレックスタイム制が適用されている部署の人から、
「法改正にどう対応したらいいのか」という問い合わせがきてたわね。
おそらく、その件についてね。
フレックスタイム制の部署は勤怠の集計が楽だな~ってことくらいしか考えていなかったので、 どのような制度で、今回の法改正がどのような内容なのか考えたことなかったです。
今までと違って、法改正前の部分は法改正後も適用されるから、制度をしっかり理解してレポートを作ってね!
部長からお小言を言われるのは私なんだから!
そうなんです!!
そもそもの制度すら理解してないのに、どうレポートを作っていいかさっぱりわからないんですよね。。。
いいわよ。
前回ちゃんと予習してきてたから付き合ってあげる!
ありがとうございます!!! ありがとうございます!!! ありがとうございます!!!
・・・。
目次
1.法改正前のフレックスタイム制のおさらい
(1)フレックスタイム制とは
フレックスタイム制とは、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度です。
労働者にとっては、日々の都合に合わせて、時間を仕事とプライベートに自由に配分できるため、仕事とプライベートのバランスが取りやすくなる制度です。
※フレキシブルタイムやコアタイムは必ずしも設けなければならないものではありません。
※コアタイムを設定しないことによって、労働者が働く日も事由に選択できるようにすることも可能です。
※フレキシブルタイムの途中で中抜けするなどといったことも可能です。
出典:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」
(2)導入の要件
フレックスタイム制を導入するには以下を満たす必要があります。
①就業規則等に、始業・就業の時刻を労働者の決定にゆだねることを定めることを規定すること
②労使で以下事項について定め、協定を締結すること(届出不要)
- 対象となる労働者の範囲
- 清算期間(1ヶ月以内)
- 清算期間における所定労働時間
- 標準となる1日の労働時間
- コアタイム ※任意
- フレキシブルタイム ※任意
(3)残業時間の計上方法
フレックスタイム制は、始業・就業の時刻を労働者の決定にゆだねるため、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて労働しても、ただちに時間外労働として計上しなければならないということにはなりません。
具体的には下記の通り計上することとなります。
①法定外残業
清算期間の実労働-清算期間における法定労働時間の総枠(※)
(※)清算期間における法定労働時間の総枠は下記の計算式によって求めることが可能です。
週の法定労働時間(40時間)×清算期間の暦日数÷7日
上記計算による清算期間の暦次数別の1ヶ月の法定労働時間の総枠は以下の通りです。
| 精算期間の暦日数 | 1ヶ月の法定労働時間の総枠 |
|---|---|
| 31日 | 177.1時間 |
| 30日 | 171.4時間 |
| 29日 | 165.7時間 |
| 28日 | 160.0時間 |
例:2019年7月(暦日31日)に実労働が180.0時間ある場合
法定外残業時間は「180.0時間-177.1時間=2.9時間」となります。
②深夜労働時間
深夜労働については他の勤務形態同様22時00分から翌5時00分までの時間を計上します。
③法定休日労働時間
法定休日の労働時間は①の法定外残業とは別途実労働時間を計上する必要があります。
2.法改正の内容
(1)清算期間の延長
法改正前は清算期間の上限が1ヶ月までとされていましたが、今回の法改正により、3ヶ月に延長されました。
これにより、清算期間を法改正前の「1ヶ月」、法改正後の「1ヶ月を超え3ヶ月までの期間」のいずれかを選択できるようになりました。
清算期間を1ヶ月を超える期間とした場合、法改正前は1ヶ月間のみで労働時間の調整が可能な状態でしたが、月をまたいだ労働時間の調整が可能になりました。
法改正前後の勤怠管理の方法の差異のイメージは下記の通りです。
出典:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」
(2)残業時間の計上方法の変更
清算期間が1ヶ月を超える場合の残業時間については、原則清算期間の最終月に計上することとなります。
しかしながら、特定の月に偏った労働時間とすることは、労働者の健康を害することにも繋がることから、1ヵ月後との労働時間が週平均50時間を越えることとなった場合は単月での割増賃金の支払いが必要となります。
①最終月以外
清算期間の最終月以外の月については、単月の総労働時間が週平均50時間(※)を越えた時間を法定外残業として計上することとなります。
(※)月ごとの週平均50時間となる時間については、下記の計算式で求めることが可能です。
50時間×月の暦日数÷7日
2019年7月(暦日数31日)の週平均50時間となる時間は下記の通りとなり、221.4時間を超過した時間については、単月で法定外残業手当を支給する必要があります。
50時間×31日÷7日≒221.4時間(計算の便宜上小数点第2位以下を切捨てています)
②最終月
最終月については法改正前の考え方同様、清算期間の総労働時間が下記の計算式によって求められた法定労働時間を超過した時間を法定外残業として計上する必要があります。
最終月の計算式によって求められた法定外残業時間は、①で計上した法定外残業時間を含んだものとなりますので、下記計算式によって計上された法定外残業時間から①で計上した残業時間を控除した時間が最終月に計上する法定外残業時間となります。
週の法定労働時間(40時間)×清算期間の暦日数÷7日
③具体的な計算
では、具体的に下記の通り勤務したときに計上する必要のある法定外残業は何時間となるか確認してみましょう。
| 4月 | 5月 | 6月 | |
|---|---|---|---|
| 労働時間 | 255時間 | 262時間 | 140時間 |
◆4月
4月は最終月以外になりますので、①の計算式で求めた時間を超過した時間を法定外残業時間として計上する必要があります。
週平均50時間となる時間は下記の通りとなります。
50時間×30日÷7日≒214.2時間(計算の便宜上小数点第2位以下を切捨てています)
よって、「255時間-214.2時間=40.8時間」を4月単月の法定外残業として計上する必要があります。
◆5月
5月も最終月以外となりますので、①の計算式で求めた時間を超過した時間を法定外残業時間として計上する必要があります。
週平均50時間となる時間は下記の通りとなります。
50時間×31日÷7日≒221.4時間(計算の便宜上小数点第2位を切捨てています)
よって、「262時間-221.4時間=40.6時間」を5月単月の法定外残業として計上する必要があります。
◆6月
6月は最終月となりますので、②の計算式で求めた時間から、4月、5月で計上した法定外残業時間を控除した時間を法定外残業時間として計上する必要があります。
清算期間の法定労働時間は下記の通りとなります。
40時間×91日÷7日≒520時間
清算期間中の総労働時間は「225時間+262時間+140時間=657時間」となります。
よって、「657時間-520時間-(40.8時間+40.6時間)=55.6時間」が6月の法定外労働時間として計上が必要な時間となります。
(3)労使協定の届出
清算期間が1ヶ月を超える場合は、締結した労使協定を管轄の労働基準監督署へ届け出ることがが必要です。
違反すると罰則(30万円以下の罰金)を課されることがあります。
これはあくまで清算期間が1ヶ月を超える場合のみであることから、法改正後であっても清算期間が1ヶ月以内の場合は法改正以前同様労使協定の届出は不要です。
3.まとめ
- 法改正によりフレックスタイム制の清算期間を「1ヶ月」「1ヶ月を超え3ヶ月までの間」のいずれかを選択できるようになりました。
- 清算期間を「1ヶ月を超え3ヶ月までの間」とした場合、残業時間の計上方法が法改正前と変更されます。
法改正により月をまたいでの労働時間の調整が可能になり、共働きで子育てをする夫婦の夏休み中の勤務や、社会人大学に通っている方が寄り生産性高く柔軟に働くことができる制度が整ったことになります。
既にフレックスタイム制を導入されている場合であっても、これからフレックスタイム制の導入を考えている場合であっても、制度会提示には上記内容の対応が必須となりますので参考にすると良いでしょう。
4.次回予告
清算期間を1ヶ月を超える期間とする設定については、働き方によっては不向きな会社もあります。
次回はどのような会社が1ヶ月を超える期間を清算期間に設定することが不向きかについてご紹介します!
次回配信は2019年11月21日予定です。
お楽しみに!!
5.本日の一問一答
お問い合わせ内容
半休取得時に残業した場合、どのように残業代を支払えばよいか教えてください。
◆前提条件
・ 勤務形態:通常勤務
・始業9:00 終業18:00 休憩12:00~13:00(60分)
・午前半休 開始9:00 終了12:00(休憩なし)
・午後半休 開始13:00 終了18:00(休憩なし)
業種:その他の産業 従業員規模:500~999名
人事経験:3年以上5年未満
回答
上記前提条件で半休を取得した従業員が残業した場合の残業代支給は原則として以下ルールに基づいて行います。
- 所定労働時間を超え8時間に達するまでの残業代(=法定内残業代):時給単価×100%
- 8時間を越えて労働した時間に対する残業代(=法定外残業代):時給単価×125%
※ここでご紹介する方法は労働基準法の最低基準による支給方法であり、就業規則等の定めによっては下記と異なる運用が必要がある場合がございますのでご注意ください。
【例1】午後半休を取得する従業員が9:00~15:00に勤務した場合※時給1,000円とします
2.0h(13:00~15:00)×1,000円=2,000円
【例2】午前半休を取得した従業員が24:00分まで勤務した場合(うち18:00~19:00は休憩)
※時給1,000円とします
合計:3,000円+3,000円=6,000円
①所定労働時間を超え8時間に達するまでの残業代(19:00~22:00に該当)
→3.0h×1,000円×100%=3,000円
②8時間を越えて労働した時間に対する残業代(22:00~24:00に該当)
→(2.0h×1,000円×125%)+(2.0h×1,000円×25%)=3,000円
※22:00~24:00は深夜に該当することから、深夜労働に係る割増賃金も計上します。
現在公開されているTHE jinjer STREET JOURNAL
- Vol.1:時間外労働の上限規制について vol.1
- Vol.2:時間外労働の上限規制について vol.2
- Vol.3:同一労働同一賃金への対応について vol.1
- Vol.4:同一労働同一賃金への対応について vol.2
- Vol.5:フレックスタイム制の清算期間延長について vol.1
- Vol.6:フレックスタイム制の清算期間延長について vol.2
- Vol.7:法定休日の定め方
- Vol.8:年次有給休暇以外の法定休暇と法定外休暇
- Vol.9:今さら聞けない!割増賃金の計算方法
- Vol10:今さら聞けない!社会保険と雇用保険の加入要件の違い
プレミアムプランのご案内
jinjerでは日々の労務問題や会社のルール・運用について、
専任の社労士がコンサルテーションを行う『プレミアムプラン』をご用意しています。
今回ご紹介した内容だけでなく、労務管理に関する様々なお悩みを解決し、
jinjerご利用のお客様の労務管理を円滑にするためのサポートをしております。
プランの内容等は営業担当者またはサポート担当者へお気軽にお問い合わせ下さい!
THE jinjer STREET JOURNALへのご要望・ご意見はこちらまで!
THE jinjer STREET JOURNALにこんな話題を掲載して欲しい!プレミアムプランの詳細な案内をして欲しい!等のご要望・ご意見は下記フォームにて承っております!