本記事は2026年1月30日(金)に公開を終了します。
HRに関するトレンド情報は、情報メディア「HR NOTE」をご利用ください。
中途入社の店舗スタッフさんから「残業代が支払われていない」と問い合わせがありました。
上手く説明できず、たまたま部長がいらっしゃったので、説明していただき、納得してもらえました!
前職がオフィスワークだったから1ヶ月単位の変形労働時間制についてご存じなかったみたいね。
本来であれば部長ではなくあなたが説明しなくてはならないのよ!
申し訳ございません・・・。
1ヶ月単位の変形労働時間制は残業のカウントが複雑で、うまく説明できなかったです。
たしかに複雑だけど、従業員からの問い合わせ対応は人事として当たり前にできないとだめよ!
うまく説明できないと、違法だと言われてしまったり、場合によってはこれがきっかけになって退職してしまったりすることも考えられるわね。
退職・・・。
たしかに間違ったことはしてなかったとしても、うまく説明できないことが会社への不信感に繋がることも考えられますね。
これを機にしっかりと説明できるように制度の理解を深めることにします!
いい心がけね!
中途入社も増えてきたし、ちょうど良い機会だから、中途入社向けの制度の説明資料を作成してもいいと思う!
そうですね!
作るのは大変ですけど、作ってしまえば問い合わせを減らせますね!
目次
1.1ヶ月単位の変形労働時間制とは
1ヶ月単位の変形労働時間制とは、1ヶ月以内の一定の期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間(原則40時間)を超えない範囲において、当該変形労働時間においては、1日および1週間の法定労働時間の規制にかかわらず、これを超えて労働させることができる制度(労働基準法第32条の2)とされています。
通常、労働時間は1日8時間、1週間40時間とされ、これを超えれば時間外労働(=残業)となります。
一方、1ヶ月単位の変形労働時間制が適用されていれば、1ヶ月間の全体で労働時間の調整ができていれば1日8時間を超過、または1週間40時間を超過するシフトを組むことができ、シフト通りの勤務が行われた場合、残業代を支払わなくて良い、というものです。
2.1ヶ月単位の変形労働時間制の採用要件
1ヶ月単位の変形労働時間を採用する場合には、労使協定または就業規則等に以下について具体的に定める必要があります。
※労使協定で定める場合は、その労使協定を労働基準監督署に届け出る必要があります。
(1)変形労働時間制を採用する旨の定め
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する旨就業規則等に定める必要があります。
(2)労働日、労働時間の特定
変形期間における各日、各週の労働時間をあらかじめ具体的に定めておく必要があります。
労働時間のみが変動し労働日が固定されている場合は、就業規則にすべてを記載することは可能ですが、シフト勤務で毎月シフトを作成している場合等で就業規則に出勤日を記載することが難しい場合は、「変形期間開始日の●日前までにシフトにより明示する」等の文言を記載した上で、各従業員にシフトを明示する必要があります。
(3)変形期間の所定労働時間
変形期間の労働時間の上限は以下の計算式によって求めることができます。
1週間の法定労働時間(=原則40時間)×変形期間の暦日数÷7日(1週間)
これを計算すると、1ヶ月の労働時間の総枠は以下の通りとなります。
| 1ヶ月の暦日数 | 労働時間の上限 |
|---|---|
| 31日 | 177.1時間 |
| 30日 | 171.4時間 |
| 29日 | 165.7時間 |
| 28日 | 160.0時間 |
これがどういうことかというと、2020年1月の場合、暦日数は31日となりますので、177.1時間を超過しない限り、1日の所定労働時間や1週間の所定労働時間について、8時間超または40時間超の設定をすることが可能になるということです。
とはいえ、1日8時間超、1週間40時間超のシフトを組む以上、別日または別週で8時間未満、1週間40時間未満のシフトを設定しないと労働時間の上限を超過する可能性がありますので、業務の繁閑に合わせたシフト組みが必要になります。
(4)変形期間の起算日
変形期間の始期を明らかにしておく必要があります。
これは、労働条件として当然に記載が必要なものではありますが、会社のルールブックとしての性質を持つ就業規則において、管理部門がルールを確認するためという観点からも必ず明記をしておくべきでしょう。
3.1ヶ月単位の変形労働時間制の残業カウント
1ヶ月単位の変形労働時間制が適用されている場合、残業時間のカウントは以下のとおり行います。
(1)1日について
①1日の所定労働時間<実労働時間≦8時間の場合
125%の割増賃金の支払は不要ですが、100%の賃金の支払いは必要です。
②1日の所定労働時間≦8時間<実労働の場合
所定労働時間を超え8時間までの時間について100%の賃金の支払い、8時間を超えて勤務した時間について125%の支払いが必要がです。
(2)1週間について
①1週間の所定労働時間<実労働時間≦40時間の場合
125%の割増賃金の支払は不要ですが、100%の賃金の支払いは必要です。
②1週間の所定動労時間≦40時間<実労働時間の場合
所定労働時間を超え40時間までの時間について100%の賃金の支払い、40時間を超えて勤務した時間について125%の支払いが必要がです。
※1日について、すでに法定労働時間としてカウントしている分はダブルカウントになるため除きます。
③1週間の所定労働時間<40時間の場合
所定労働時間を超えた勤務した時間について125%の支払いが必要です。
※1日についてすでに法定労働時間としてカウントしている分はダブルカウントになるため除きます。
(3)1ヶ月について
対象期間の法定労働時間の総枠を超えて労働した時間について125%の支払いが必要です。
※1日および1週間についてすでに法定労働時間としてカウントしている分はダブルカウントになるため除きます。
4.まとめ
1ヶ月単位の変形労働時間制は、労働基準法の原則である「1日8時間」「1週間40時間」の定めにかかわらず、適正なシフトを組むことにより、割増賃金を支払わなくて良い時間帯を作れるため、人件費の観点からは非常に有用な制度であるといえます。
また、繁閑によりシフトを組むことにより、働く方々にもメリハリを持って働いてもらうことができる制度であるともいうことができます。
一方で、割増賃金のカウント方法が複雑化し、場合によっては未払賃金という労務リスクを抱えてしまう企業も少なくありません。
これを機に1ヶ月単位の変形労働時間制を正しく運用し、労使ともに健全な関係性を築けるようにすると良いでしょう。
5.次回予告
次回は休憩のルールについてご紹介します。
お楽しみに!!
6.本日の一問一答
お問い合わせ内容
弊社従業員から「休憩は不要なので、その分早く帰らせてほしい」との申し出がありました。
本人の希望通りの勤務形態にするのであれば、休憩時間を17時00分~18時00分とすることになるのですが、問題ないでしょうか?
ちなみに現在は、「始業9時00分、終業18時00分、休憩12時00分~13時00分」です。
業種:卸売業、小売業 従業員規模:100~299名
人事経験:3年以上5年未満
回答
結論から申し上げると、問題ありです。
休憩時間には下記の3つの原則があります。
- 労働時間の途中に与えなければならない
- 労働から開放されていなければならない
- 一斉に付与されていなければならない
今回のケースの場合、上記「1.労働時間の途中に与えなければならない」に抵触することになります。
これは、法令でそのように定められていることから、労使間の合意があった場合でも行政からの指摘対象となってしまいます。
貴社従業員様の要望を叶えようとすると、会社は法令違反をしなければならないことにもなりますし、休憩を取らずに連続して勤務を行うことは、かえって労働生産性を低下させることにも繋がると考えられますので、休憩時間の趣旨をご本人様にご説明いただいた上で、理解いただくことが肝要であると考えます。
現在公開されているTHE jinjer STREET JOURNAL
- Vol.1:時間外労働の上限規制について vol.1
- Vol.2:時間外労働の上限規制について vol.2
- Vol.3:同一労働同一賃金への対応について vol.1
- Vol.4:同一労働同一賃金への対応について vol.2
- Vol.5:フレックスタイム制の清算期間延長について vol.1
- Vol.6:フレックスタイム制の清算期間延長について vol.2
- Vol.7:法定休日の定め方
- Vol.8:年次有給休暇以外の法定休暇と法定外休暇
- Vol.9:今さら聞けない!割増賃金の計算方法
- Vol10:今さら聞けない!社会保険と雇用保険の加入要件の違い
プレミアムプランのご案内
jinjerでは日々の労務問題や会社のルール・運用について、
専任の社労士がコンサルテーションを行う『プレミアムプラン』をご用意しています。
今回ご紹介した内容だけでなく、労務管理に関する様々なお悩みを解決し、
jinjerご利用のお客様の労務管理を円滑にするためのサポートをしております。
プランの内容等は営業担当者またはサポート担当者へお気軽にお問い合わせ下さい!
THE jinjer STREET JOURNALへのご要望・ご意見はこちらまで!
THE jinjer STREET JOURNALにこんな話題を掲載して欲しい!プレミアムプランの詳細な案内をして欲しい!等のご要望・ご意見は下記フォームにて承っております!